ダークナイト
クリストファー・ノーラン監督の『バットマンシリーズ』をアメコミ映画と侮っていた人も、『ダークナイト』の登場で、口をつぐんだことだろう。
圧倒的存在感のジョーカーを演じるヒース・レジャー(彼はこの映画出演の後に急死してしまう)、さらにジョーカーに立ち向かうバットマン(ブルース・ウェイン)役のクリスチャン・ベールの演技も神がかっている。
映画でありながらも、役者同士の魂の戦いを感じる。
ゴッサム・シティで悪の限りを尽くすジョーカー。
バッドマンはその悪事を食い止めようと奮闘する。
しかし、人の命の重さをあざ笑うかのようなジョーカーの罠にかかり、バットマンは苦悩するのだった。
ブルースをサポートするのが執事のアルフレッド。
彼は主人が夜な夜なバットマンとなって活躍しているのを知っている。
ウェイン家の莫大な富を使って武器や防具を開発し、ブルースの戦いに役立てる。
ある夜、花粉がゴッサム・シティを襲う。
これにはバットマンも困ってしまう。
闇に紛れても、マントを翻した瞬間花粉が舞うのだ。
「ヘ、ヘ、ヘブシッ!」
存在がバレて、袋叩きに合うバットマン。
ほうほうの体で屋敷に逃げ帰る。
「昨夜は随分、お楽しみだったようですな」。
皮肉屋のアルフレッドが言う。
「それを言うな。花粉で大変だった。あれにはかなわない」
「花粉はもう大丈夫です。特殊なスプレーでマントとスーツを加工しておきました」
「いったい、なにを?」
「イオニアミストです」
「イオニアミスト。強そうな名だ。ウェイン・エンタープライズが開発したのか?」
「日本の会社です」
「……やるな、日本企業」
花粉に負けず、今夜もバットマンは戦うのであった。