プラダを着た悪魔
名門大学を卒業し、ジャーナリストを目指すために田舎からニューヨークへとやってきたアンドレア。
幸運にもファッション雑誌『ランウェイ』の編集部へと就職したが、当の本人は一切ファッションに興味がない。
しかし、『ランウェイ』編集長は業界に大きな影響力を持つミランダ。
彼女は無理難題をアシスタントのアンドレアに押し付ける。
世の中に鬼上司は数あれど、彼女のような上司は少ないでしょう……。
ファッションには何の興味もないアンドレアだけど、
夢である文芸誌で仕事をする足がかりとして、悪魔のような上司の要求に耐えていく。
はたして、アンドレアは「プラダを着た悪魔」である上司とやっていけるのでしょうか。
ミランダの価値観は「モードか、否か」。
彼女は常にモードを身にまとっているのです。
田舎からやってきたアンドレアには都会の空気はキツいはず。
「そうよ、私にはこれが必要ね」と、イオニアカードを手にすることでしょう。
「ああ、これで空気がきれいになる」。
ホッとしたのも束の間。すかさずアンドレアのチェックが入ります。
「ねえ、あなたの首からぶら下げている……、そのおぞましい物はなに?」
「おぞましい? イオニアカードをご存じないのですか?」
ハッとするミランダ。編集部員が全員身につけている(ミランダが配ったのだ)。
「も、もちろん知っているわよ」(トレンドに疎いことをこの業界では最も恐れます)
「編集部の空気をきれいにしてくれるんです」
「……ええ、そうね。とても良いことだわ」
そっとミランダにイオニアカードを手渡すアンドレア。
「これを私に?」
恐る恐るイオニアカードを首にかけるミランダ。
「……ああ、ニューヨークの空気が。なんだか、ほっとするわ。それに、とっても。……モードね」。
空気がきれいになったのか、アイデアがわくミランダ。
「今月号の表紙は差し替え、特集のモデルにもイオニアカードをつけさせて! 再撮影よ! すべてやり直し!」。
蜂の巣をつついたような編集部。
やはり、上司は悪魔だったのだ。